ベトナム人懐石料理シェフ
グエン バ フックさん

日本に来たきっかけを教えてください。

私がベトナムにいた時、ハノイにある日本食レストランでシェフを勤めていました。しかし、この安定した職に対しての退屈さを感じてしまい、自分のさらなるキャリアをを見つけ進歩させるため挑戦することにしました。芸術的文化の伝統的な日本料理を知る機会があったとき、すぐに退職し日本に留学して現地で本場の伝統的な日本料理を学ぶことを決意しました。

現在のお仕事を教えてください。

現在、東京の伝統的な懐石料理屋で料理人として働いています。 日本政府のプログラム「日本の食文化海外普及人材育成事業」を通して活動中です。このプログラムは、日本料理の海外普及を目的に、調理の専門学校を卒業した外国人留学生が、引き続き、日本国内の日本料理店で働きながら、技術を学べる制度です。最大５年間で得られたものを自国へ持ち帰り、その国で日本料理の伝承をしていきます。

私は毎日、同僚と日本の伝統的な懐石料理を手がけてています。簡単に言えば、懐石料理とは前菜からデザートまでの多くの料理を提供する一流の伝統コース料理です。料理は季節の食材を使用し、たんぱく質や脂肪が少なく、日本の食材固有の味とバランスが取れていて自然を尊重する料理となっています。

また、私は日本の伝統的な料理研究協会の会員であり、最近では、日本でベトナムシェフ協会（VICA）を代表する責任者を引き受けました。

そしてもう一つ重要な仕事は日本でシェフになりたいベトナム人が北斗文化学園インターナショナル調理技術専門学校に入学するための奨学金プログラムを紹介し、推薦することも行っています。

日本にいてよかったなと思うことはなんですか？

私はかつて、日本で最も寒いと言われている北海道にいました。そこには美しい自然の風景、新鮮な気候、そして温かく迎え入れてくれる人々がいます。そこで私は多くの人々に生活や文化を教えてもらい、素敵な経験をしました。今まであった人々の誠実な姿勢にはとても感銘を受けました。日本人は私たち外国人が道に迷ったり市役所で困っている時、無条件に接してくれます。そして、全然知らない人でも道を教えてくれました。しかし、当時私はその人の言ってることがわからなく、困りましたがその人は遠い道のりでしたが私を連れて行ってくれました。

そしてもう一つ、日本では労働者、農家、サラリーマンなど、どの仕事でも平等で、職業上の差別はほとんどありません。

日本で学ぶ価値のあることは、自分自身の仕事の概念です。 今まであった人の多くは「何をするか、どうするかは関係ない」と言います。彼らは小さなことからごく普通のもの、並外れたものまで、時には一生をかけてうまく仕事をするために何年も費やします。それは私が追求していることでもあり、人生の感覚とその中でのキャリアの「やりがい」を感じます。

日本での夢や計画を実行する上で、どのような困難に直面しましたか？

日本に渡って6年しか経っていないのでこの質問に答えるのはとても難しいです。しかし、一つのアクションショートムービーにできます。ベトナム人シェフが日本に渡り伝統的な日本料理を学ぶのは難しいです。そして料理人という道をたどるのはとても難しく、通常みなさんは学校を卒業した後は日本で働くことはできないとされていました。たった1人の外国人という教室環境で、外国人にとっては専門用語の日本語をマスターすることは難しかったです。当時、環境に慣れるのは本当に大変でした。 文化や言語のショックだけでなく、ベトナム人の友人や親戚のいない街で一人暮らしをするときの孤独を感じました。次は、常に外の世界との壁が高いと考えられている伝統的な日本の料理場で働き始めることの難しさです。 外国人はもちろん、日本人でもとても難しいです。

最後に、最も重要なのはおそらく新型コロナウイルスの大流行により、東京での最初の仕事を奪われ何ヶ月もの間私は困難にぶち当たりました。 しかし、これは私にとって、経験の積み重ねであり、寿司屋での仕事など、他の興味深い経験をする機会でもあります。新型コロナウイルスのおかげで、友人、家族、知人、そして最も困難な時期に常に助け、支援したいと思っている、知らない、気にかけている多くの人々がいると私は信じています。

あなたの近い将来、長期的な将来について教えてください。

今後3年間、私は伝統的な日本料理に取り組み、深く研究していきます。日本のベトナム人シェフをつなぎ、日本にベトナム人シェフ協会を設立し、日本人へのベトナム料理の紹介を支援していきます。そして、料理を学びたい、日本でシェフになりたいという若者を支援し、奨学金の申請サポートをします。

将来的には、ベトナムに戻って日本料理を発展し続け、若いシェフの経験や伝統的な日本料理をベトナム人にもたらし、日本料理の素晴らしさを五感すべてで体験できるようにします。最後に、私は独自の高級で伝統的な日本食レストランをオープンしたいです。

日本にいる若者へメッセージをください。

私にとって、何をするかは重要ではありません。重要なことは、それをどのように実行するかどのように仕事に専念するかです。もちろん、よく考えて決めたら、自分のやっていることへの熱意と信念が最も重要ですが、それが合わない、または信用できない場合は、すぐに諦めることが最善です。全力を注いだ時、今直面しているであろう困難と挑戦の結果を出すことができると私は信じています。